第46回 プロジェクト『いのち』 定例会のお知らせ

平成30年も残すところ2か月を切りました。12月9日の第45回定例会は、坂本陽明神父をお迎えし、「医学と宗教の接点―医療文化と宗教文化の統合(ホリスティック)」という演題で講演をいただきます。カトリック神父が、医療と宗教の問題を語られるのはこれまでの研究会にはなかったことであり、宗教と医学の問題に関心を持つ多くの方々に、是非参加いただき、質疑応答も通じて、医学と宗教の問題、またいのちの問題について、深く考える機会を提供できればと考えています。
なお、今回の46~48回の3回の定例会は、科学研究費の助成を受けて行いますので参加費は無料となっております。お誘い合わせの上、御参加頂きますよう、ご案内申し上げます。

日 時:平成30年12月9日(日)   13時~17時

場 所:京都中央学院375教室(京都駅徒歩5分、リーガロイヤルホテル前、アパホテル堀川通横)

演 題: 「医学と宗教の接点―医療文化と宗教文化の統合(ホリスティック)」

講 師: 坂本 陽明(さかもと ようめい)

略 歴: 1947年長野県生まれ。中央大学・南山大学大学院卒業。ホリスティック医療黙想推進司祭、カトリック鹿児島教区阿久根教会主任司祭。東京・聖イグナチオ教会出身。中国・輔仁大学中国語研究センター修了。前・中国・国立政治大学教員、タイ国アサンプション大学教員。

概 要: 医療・医学の目標が、病気を治すことにあることはもちろんですが、人間に生老病死があることも事実であり、これも自然の流れです。病気が回復しないことはあってはならないと考え、医学の進歩に医学関係者は力を尽くされてきました。と共に、人間は生老病死していく存在であるという自然の流れをどう受け止めていくかということを、あいまたせ、進歩させていくということかもしれません。医療の進歩は素晴らしいことであり、長寿も難病の治癒も、医療の進歩があったればこそ、可能となりました。他方、生老病死の厳然とした事実をどう受け止めていくか、どう生命の意味・生きることの意味を探求し・解答を与えていくか、と云うことも問われ続けています。キリスト教医師として世界的に著名で、1977年に来日したスイスのポール・トウルニエ(1898~1985)医師は、医学の根本は、compassionであると述べました。「お世話する・共感する・寄り添う」というふうに訳されています。「医師は、治療する病いだけでなく、人格全体に関わっている」と彼は述べ、「人格医学(Medecine de la Personne)」を一九四〇年代に提唱しました。医療文化が、健康で長生きを目標としているのなら、キリスト教や仏教などの宗教文化が目標としているもの、それは何でしょうか。それは、生きることの意味・使命・役割を説き、人間の生に生き甲斐と喜びを与えるものと、云えましょう。医学と宗教との接点は、キリスト教では、トウルニエ(1898~1986)やパラケルスス(1493~1641)聖ヒルデガルド修道女(1098~1179)などのホリスティック医師達の説明からも知られるように、病気は治癒(癒しcures)だけではなく、魂・存在全体の救い(salus)と繋げられています。
仏教に於いては、チベット医学に見られるように、病気の症状と存在の救いが、仏教の教えによる統合的(ホリスティック)視点から、語られてきました。病気の治癒は、存在の救いにまで行き着かねばならないのです(トム・ダマ-/ダライ・ラマ十四世 序文『チベット医学入門-ホリスティック医学の見地から』)。ホリスティック医療の視座から医療文化と宗教文化との接点を論じるにあたり、(1)日本における医学の歴史 (2)西欧キリスト教社会における医学の歴史を、概観してから、現代社会に於ける仏教とキリスト教文化の実情と 医療文化の接点における問題点を提示し、かかるテ-マを深め、方向性をさぐっていきたい、と思います。

定例会参加費:無料

懇 親 会 :4,000円  (晃庵:075-352-1130)

出欠(定例会のみ、または懇親会の両方のどちらかを必ず御記入下さい。)御返事は11月30日(金)までに、メールアドレスinochi.project@@gmail.com(@をひとつ取り除いてください)に御連絡頂ければ幸甚です。皆様のお越しをお待ちしております。

今後の予定(47回・48回ともに、科学研究費の助成を受けて開催致します。)
詳細は改めて連絡させて頂きます。