第33回プロジェクト「いのち」定例会を開催しました

講義③全体
平成28年6月5日(日)13:00~17:00、キャンパスプラザ京都の講習室にて、第33回プロジェクト「いのち」定例会を開催いたしました。

演題:「操体法から観えてくる世界、拓かれる世界
    ~からださんの選択・わたしの選択・わたしと共に生きている人の選択~」
講師:北村翰男先生 (奈良漢方治療研究所・所長)

今回の定例会には、本会の発起人の御一人であり、第1回のオープニング講師でもある北村先生を6年ぶりに講師としてお招きし、医師・看護師・東洋医学の専門家等の医療従事者をはじめ、心理学、教育学、宗教学、ボディワーク等様々な分野の専門家19名が参加しました。

定例会は2部構成で、第1部では操体法の概略や身体観などについてのご講演、そして第2部は実際に参加者が体験を通して学ぶ実技が行われました。

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操体法(そうたいほう)は、仙台の医師橋本敬三(1897-1993)により創始され、“健康法”として知られていますが、実際には本来は医師が実際に臨床で用いていた診断・治療体系でもあります。

講師の北村先生によると、操体法とは「“からだ”を、“操る”時の、“法則”」であり、また「どの動きも、その人の体に合うものが快、合わないものは不快」という考えのもとに成り立っています。

つまり、”これが正解”というモデルはなく、「ゆがんでいる人はゆがんでいるなりに、歪(ひず)みを治すと症状が治って」いきます。

講義①アップ

操体法の「原理」

動かすことによって現れたり消えたりする症状は、

動かすことによって解消することができる。

 

後半の実技では、参加者それぞれが自分の身体感覚と向き合い、体を動かすことによってその感覚が少しずつ変化していく体験をしました。

このときに、感じている身体感覚の強度に0から5で評定をつけていきます。

講義④実技

 

0:まったく何も感じない

1:ほんの少しだけ感じる

2:気にならないくらい

3:気になるくらい

4:苦になるくらい

5:耐えられぬくらい

 

操体法が目指しているのは、体全体の連動と安定感を感じながら、身体感覚が「0:まったく何も感じない」に近づいていくこと。

この「まったく何も感じない」ことが体が健やかであるということであり、痛みや不快感でなくともそこに”存在感”があれば、すでに体の不調が始まりつつあるのだ、と教わりました。

そして、体からこの”存在感”すら無くなった状態、それは言いようのないくらい爽快なのだそうです。

実技を実際に体験してみての一番の感想は、非常に繊細な感性を要するのだな、ということでした。

感覚を研ぎ澄ませて自分の体に向き合っていくプロセスは、未病を防いでいく健康法である以上に、創始者の橋本敬三氏が生前おっしゃっていたという「操体法は生き方」であるということを、体験を伴って実感しました。

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北村先生は、今年12月3日・4日に京都の稲盛記念会館で行われる人体科学会第26回大会の体験ワークショップ「医学・医療を哲学するー実践編」においても操体法のファシリテーターをされる予定です。

人体科学会第26回大会のホームページも、近々公開予定ですので、こちらのウェブサイトでもお知らせいたします。